健康、長寿のお祝いといえば

敬老の日の他にも日本には長寿をお祝いする風習があります。賀寿、算賀などと呼ばれる、還暦や喜寿、米寿など、節目の年齢を迎える誕生日に長寿をお祝いするものです。賀寿、算賀など節目の年齢に長寿をお祝いする風習は、中国由来の文化です。長寿をお祝いする習慣はアメリカ、イギリスなど欧米やタイやネパールなどアジア各国など、世界中で見られます。しかしながら、10年ごと節目に祝うのは日本や中国など儒教の影響が強い国ならではといえます。

儒教は紀元前の中国、春秋時代の思想家、孔子を始祖とする思考・信仰の体系です。儒教では、年齢を重ねることを老い・衰えとしてよりも、人間としてより成熟し心豊かになると考えます。有名な「論語」の一節「子曰く、吾れ十有五にして学に志ざす。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳従う。七十にして心の欲する所に従って、矩を踰えず。」に、その考え方が現れています。紀元前に生まれた儒教の敬老の精神が中国内で受け継がれ、唐末期には長寿を祝う詩を贈ることが流行します。

この文化が遣唐使を通じて、平安時代の日本貴族の間で広まりました。室町時代に入ると、古稀(70歳)、喜寿(77歳)、米寿(88歳)、白寿(99歳)などが祝われるようになり、江戸時代にはさらに還暦(60歳)が祝われるようになりました。

認知度は低いものの還暦以外にも、茶寿、大還暦、天寿など区切りの年齢を表す呼称が存在します。