- 2018.01.29
- 食べ歩き
ところで、静岡県が東西食文化の境界だってご存知でした?
寒い日がつづいております。皆さま、体調など崩されていませんか? こんにちは、大五うまいもの発見隊の小山です。
静岡県が東西食文化の境界だという説があります。私個人としては、境界というより「東西がクロスオーバーするエリア」って言えるとカッコいいって思うのですが…あっ、クロスオーバーとは「異なる物事を組み合わせて新しい物事を作り出す」という意味です。
上の写真をみて「おやっ?」と思った方、鋭いですね。そうなのです。左の天丼は江戸前風なのに、右のお蕎麦は関西風でしょう? こちら「そば処あおき」さんでは、温かいかけ汁は薄口醤油の関西風、冷たいお蕎麦の汁は濃口醤油の辛口関東風なのです。
「桜丼」。桜エビの大きなかき揚げに、ナス、ピーマン、海苔の天ぷら。揚げ油は江戸前天丼定番のごま油、なんといっても香りがいい。もちろん丼汁だって黒い甘辛の関東風。
静岡県は旧国名で言うと、東から伊豆国(豆州)、駿河国(駿州)遠江国(遠州)という三つの国から成り立っています。戦国時代、伊豆国は関東の北条氏の領地でしたし、駿河は京文化を取り入れた今川氏の本拠地、遠州は三河(愛知)や信濃(長野)との交流が現代でも盛んと、静岡とひと口に言っても、地域それぞれの成り立ちがかなり異なります。
「あおき」の掛け蕎麦の汁は、薄口醤油の澄んだタイプ。お出汁も昆布の風味が若干強いように思います。これなら関東の黒い汁が苦手な関西の方でも大丈夫でしょ? 静岡は関東風の黒いかけつゆで、関東より甘めの味付けのお店が多い…かな。
最近よくテレビでも紹介される「静岡おでん」も、富士川と大井川に挟まれた地域限定の食べ物ですし、お雑煮も角餅、丸餅、焼く、焼かない、具やお出汁にも地域差があります。うなぎの蒲焼も静岡県東部・中部は、関東風の蒸すタイプが主流ですが、浜松など西部に行くと関西風の蒸さない蒲焼が多くなります。
あおきさんのセットメニュー、お安いでしょ?ランチタイムのみではなく、フルタイムこの価格はお得です!
他にも、静岡市のお味噌は「あいじろ」という白い甘めの味噌ですが、甲州への塩の道沿いだと、色も濃くてもっと塩辛いという印象があります。また、静岡名物の「とろろ」に使う出汁ですが、静岡市は味噌汁ベース、東へ行くとお醤油かつお出汁ベース、西部へ行くとお醤油サバ節ベースありと、やはり地域によって差があります。焼いた塩サバをほぐしてトロロに入れる…という地域もありますからね。味の好みが違うのでしょう。
静岡県は食材の種類が日本一多いそうですが、温暖な気候に加えて、こうした味の好みの地域差によって、作物のバリエーションが増えて行ったのかもしれません。多分、あまり知られていない美味い食べ物、名産、名物が、まだまだ隠されていると思います。これから、良いものを見つけたら、紹介していきたいと思っています。
「そば処あおき」さんへも近くにお越しの節は、ぜひ立ち寄ってみてください。静岡県産の日本酒、静岡地酒はかなり充実しています。おつまみに「焼津黒はんぺんの天ぷら」お薦めです。ランチ、ディナータイムとも終日禁煙ですから、お子様連れでも安心ですよ~
そば処 あおき(定休日・月曜)
住所:静岡県静岡市葵区平和3-18-14