- 2018.08.08
- 静岡の「食」
静岡県のお茶の基礎知識 歴史④
静岡茶の始まり「茶祖・聖一国師」 #3
南宋での留学を終え、円爾、後の聖一国師は帰国の途に就きます。「聖一国師」という名は、円爾の没後に花園天皇から贈られた「国師号」です。ですので、生前のお話をするときは、円爾と呼ぶことにします。
仁治3年(1242)、博多綱首である南宋人の謝国明が、宋から帰国した円爾を開山に迎えて承天寺を創建しました。博多綱首とは、博多に住み日宋貿易に従事した宋人のことです。謝国明は2001年のNHK大河ドラマ「北条時宗」で、北大路欣也氏が演じていた人物と言えば、お分かりの方もいらっしゃるかもしれません。
謝国明は日宋貿易で莫大な財をなした人で、後に承天寺が火災に見舞われた際は、一日で堂宇塔頭を再建した…と言われるほどの実力者でした。また博多の伝承では、謝国明は「年越し蕎麦」や「鍼治療」の元祖とも伝えられています。
写真の石碑は承天寺境内にあるもので、左が「饂飩蕎麦発祥之地」右が「御饅頭所」の石碑です。円爾は仏教の膨大な経典を持って帰国しましたが、そのジャンルは仏教だけにとどまらず、小麦粉の製法、水車による製粉の詳細な設計図、小麦粉を使った麺や饅頭などのレシピなど、当時最先端の技術知識を持ち帰りました。
承天寺では円爾が中国から「羹・饅・麺」をもたらしたとして、今も命日に羊羹、饅頭、うどんをお供えしています。また、蕎麦やうどんの元祖、和菓子の元祖として、各業界団体から敬われています。
円爾直筆の『御饅頭所』の看板は、有名な和菓子や『とらや』に今も伝わっています。なお、円爾の持ち帰った饅頭のレシピは、麹を使った酒饅頭だとされています。
円爾と食べ物をめぐる祖のお話をしましたが、次回は静岡ともご縁のある円爾が祖となる事柄についてお話します。(聖一国師#3につづく)
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