- 2023.07.05
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歴史ある神社の参道に佇む銘店「野櫻山葵漬」
寿司や刺身と一緒に食べられることの多いわさび漬け。そんなわさび漬けの名店を紹介します。
静岡市で通称「おせんげんさん」として親しまれる歴史ある神社の参道にあるわさび漬けの銘店「野櫻山葵漬」。創業は幕末の安政五年(1858年)。165年に渡り原料・製法にこだわった風味豊かなわさび漬けを作り続け、地元・静岡で広く愛されてきました。
静岡県は水わさび/根茎(すりおろす部分)の生産量(産出額)日本一。市場からの評価の高いわさび産地・静岡県の中でも静岡市は「有東木」を初めとする高品質なわさびの生産者が古くからわさびづくりに携わってきた地域です。野櫻本店では日本屈指のわさび産地である地元の生産農家からわさび漬けの原料となるわさび(根)や茎を直接買い付け、加工しています。買い付け、加工は野櫻山葵漬の店主自らが行っています。店主自らが関わることには、常に鮮度を保った状態で加工できることはもちろんですが、野櫻本店ならではの「こだわり」が隠されています。
季節、産地、個体の差を見極めた配合
店主自らが買い付け、自ら加工するからこそ、1本1本、辛さの異なるわさび根を見極め選別することが可能となります。他者から「何故そんなに面倒なことをするの?」と聞かれることの多い野櫻山葵漬のこだわりポイントです。加工前、加工時(断裁工程)を通じて原料わさびは5つの辛さに振り分けられます。
野櫻の味として狙い通りの辛さ、香りに仕上げるために素材を見極めて配合を調整しています。そのためには産地や生産者ごと、季節ごとの品質の差を調達の段階で把握し、下処理の段階で1本1本個体の差を現物に触れて見極めることが必要になるのです。
例えば、わさびに包丁を入れたときに断面に赤い筋が入っていれば、それは辛みの強い個体です。1本1本手作業で切り分け断面を見ることで、わさびの辛さを選別します。見た目だけでは確信が持てない辛さの見極めは、作業の中で5感を通じて確認されていきます。何本も切り進めていくなか包丁の表面がヌルヌルしてくれば、それは辛味の強いわさびです。丁寧な手作業と5感を駆使することで原料の特徴を感じ取る、労を惜しまず手間をかけた作業により、野櫻本店のこだわりの味が生み出されます。
辛さにアクセント「本茎」を使用
静岡のわさび生産者界隈で「本茎/ほんぐき」と呼ばれる部位があります。わさび根として成長しなかった小さな根と茎のことです。とても小さいので加工するのに手間がかかることから、わさび漬けの原料としてはあまり使用されることがありません。野櫻山葵漬では、加工に手間がかかる「本茎」を原料として使用しています。本茎(ほんぐき)は茎単品で売られている原料より柔らかく香りが良いのが特徴です。通常のわさび根や茎の加工より手間がかかりますが本茎の柔らかさと香りは、製品にアクセントを加えるために欠くことができないものとなっています。
3段階の断裁工程
野櫻山葵漬の製造工程には「なぜそんな面倒な工程をするの?」が溢れています。3段階の断裁工程もそんな「なぜそんな面倒な…」のひとつです。野櫻山葵漬では「食感、香り、辛さ」3つの調和を図るために(1)賽の目切り(2)ミキサー(3)スライサーの3つの断裁工程を取り入れています。ただ細かくするだけなら、ぶつ切りにした原料わさびをミキサーにかければ終わりです。野櫻山葵漬では最初の「賽の目切り」で辛さを見極め、「ミキサー」「スライサー」では均一で狙い通りのサイズに裁断することを企図しています。細断されたわさびのサイズが小さ過ぎると、出来上がり直後はものすごく辛く、時間経過とともに辛味がすぐに抜けてしまうわさび漬けが出来上がります。酒粕と混ぜ合わせ寝かせた後に丁度良い辛さに仕上がり、辛味が持続する最良のサイズを実現するため、3段階の断裁工程により最適で均一な大きさとなるよう調整しています。
味を守るために求められる探究心
酒粕に含まれる酵素や乳酸菌は、わさびの辛み成分と反応して風味を豊かにします。創業以来、野櫻山葵漬では原料として灘の酒蔵「大関」の酒粕を使用してきました。野櫻の味に欠くことのできない風味はこの酒粕により醸されてきたのです。しかしながら酒蔵の味は永久不変ではなく、165年前と現在では酒の製法や原料などに起因する変化が見られ、狙った味とズレが感じられるようになってきました。そこで「野櫻の味」となるよう全国に酒粕を求め、現在では厳選した3つの酒粕を季節によって配合を変えて組み合わせることで「野櫻の味」を実現しています。
3つの酒蔵
大関(兵庫県)/福乃友酒造(秋田県)/山根酒造場(鳥取県)
こだわりに溢れた逸品「野櫻本店」のわさび漬けを、ぜひ一度お試しください。
辛さの見極めにこだわったからこその商品
3つの辛さを食べ比べセット(大辛口60g、中辛口70g、甘辛口75g)
【わさび漬け・大辛口】
わさび根をもっとも多く配合したため、一番辛い味付けとなっています。熟成がうまくいかなかったときは販売をを取りやめるほど拘ったわさび漬けです。そのままでお召し上がりいただき、わさび漬けの美味しさをお楽しみください。
【わさび漬け・中辛口】
辛さ、甘み、旨味のバランスにこだわった野櫻山葵漬一番人気のわさび漬けです。そのままでお楽しみいただく他に、フライ、天ぷら、焼き魚につけてなど、様々にご利用いただけます。
【わさび漬け・甘辛口】
わさびの風味はしっかりと残しつつ、辛さを抑えめにしたわさび漬けです。わさび漬けは食べたいけれど、辛いのは苦手という方におすすめです。